BOOK WARM「本の虫」vol.3
私の家では夕食時、TVを見ない。
子供の頃、父親から禁止されていたので、
友達の家は家族みんなでTVを見ながら
夕食をするというのを聞いてとても羨ましかった。
だが今となっては、そんな教育をしてもらえて
よかったと思っている。
TVを見ながら食事をすると、
料理の味を味わうことがほとんどなくなってしまうように思う。
しかも今のTVはテロップが常時流れるので
何も考えずに見れる為、脳が活動停止している気分になる。
味も分からず、家族間の会話も少なく、
番組によっては考える必要もなく、得るものもあまりない。
1日の中で、家族がゆっくり集まれる
貴重な時間だったりするからこそ、
そんな風に思ってしまうのかもしれない。
1974年、フランスのブルターニュ半島のテレビ塔が
過激派によって爆破され、その後1年間、
この地方にあったTVが見れなくなってしまった
という事件があった。
その1年間、この地方で面白い現象が起きた。
みんなが本を読むようになったので、
本屋の収入が増え、子供は外で遊ぶようになったので健康になり、
人々のコミュニケーションが増え、
つながりが綿密になったらしい。
TV番組をすべて否定するつもりはない。
素晴らしい番組もたくさんある。
結局のところTVに限らず、垂れ流される情報に
受け身なのか、自ら選んで見ているのかの差が
問題なのかもしれない。
最後に僕のお気に入りの本の中の一節を紹介したい。
- 作者: ミッチ・アルボム,別宮貞徳
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2004/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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モリーは自分の文化を作り出していた。
ディスカッショングループ、友人との散歩、
ハーヴァードスクエア教会での自分の好みに合わせたダンス。
グリーンハウスというプロジェクトを発足させて
貧しい人たちに精神面のケアを受けられるようにした。
本を読んでは授業の新しいアイデアを探し出し、
同僚を訪ね、昔の教え子と交際を続け、
遠くの友人に手紙を出す。
食べることと自然を見ることに多くの時間を使い、
TVのお笑い番組や今週の映画で時間を無駄にしない。
人間的な活動、会話、協力、愛情の繭を編み上げ、
それがボウルに波々とついだスープのように
彼の生活を満たしていたのだ。